ヘルメットリムーバーがいろんな意味でとても良いのでみんなで使おう、という主張

2019年7月28日日曜日

#ツーリングあれこれ


  • ヘルメットリムーバーのいいところ
    • ヘルメットの脱着で、耳が痛くならない
    • ヘルメットの内装の汚れがある程度マシになる
    • 髪型の乱れがある程度マシになる(髪型次第)
  • ヘルメットリムーバーのよくないところ
    • 顔や頭に縫い目の跡がつく
    • ヘルメットをかぶっていないときの姿が間抜け
    • かぶり方を失敗するとわりと痛い。ので、かぶるときにちょっとめんどくさい。
  • 安全性については、ヘルメットリムーバーを知らない人にヘルメットをむしり取られたら何の意味もない。認知度を広げるためにもみんなでヘルメットリムーバーを使おう。


ロングツーリングに限らず、バイクに乗る、ということは、無事に帰ることに対して責任を持つことであり、万が一のことがあっても無事でいられる可能性を高めるためにできることはやっておく、という姿勢が重要だと思っています。堅苦しい言い回しですみません。言い方を変えると、バイクに乗る、というと、それだけで、危ない、という人がいるのに、万が一のことがあった時に、そういう人たちに、ほら言ったじゃないかバイクはやっぱり危ない、と言わせたくない、という意地みたいなものかも知れません。いずれにせよ、できるだけ怪我を軽くする努力は、やるに越したことはありません。
ヘルメットリムーバーは、万が一の時に、頚椎に負担をかけずにヘルメットを外すための装備なので、安全のための装備、というイメージが強いと思います。その流れで行くと、確かにけがを軽くする努力はしたほうがいいかもしれないけど、自分でヘルメットが脱げないような状況のことまで考えるというのはちょっと、というのもよくわかります。そんなことになったら、どのみちバイクは危ない、と言われるし。
しかし、私の場合、ヘルメットリムーバーを使う一番の理由は、安全のためではありません。単純に、ヘルメットの脱着が楽になるからです。使えばわかる。ぜんぜん違うぞ。
ツーリング中はヘルメットの脱着回数が増えます。1日8時間走るとして、1時間おきに休憩をすると、単純に8回ヘルメットを脱いだりかぶったりします。ロングツーリングの時は、それが毎日続くので、だんだん耳が痛くなります。特にヘルメットを脱ぐときがつらい。耳たぶの下のところが少しちぎれているんじゃないか、と思うくらいに痛い。夏は、汗で内装が湿って滑りが悪くなるので余計に痛い。雨の日も同じ。私は、耳がそんなに出っ張っている方ではないと思うので、他の人も同じだと思っていますが、どうなのでしょう。ともあれ、ヘルメットリムーバーをつけていれば、この問題は一気に解消します。いたって快適。初めて使ったときは、おお!と声が出たくらいです。そんな感じなので、最近では、ヘルメットリムーバーをつけないでヘルメットをかぶる方に違和感があります。どんな違和感かというと、靴下を履かないで靴を履く、というのが、感覚的に一番近いかもしれない。ちなみに、ヘルメットを脱ぐときは、ヘルメットリムーバーを使わずに、普通に脱ぎます。
ヘルメットリムーバーを使うと、ヘルメットをかぶる時にスムーズになるのに加えて、内装と肌が直接こすれないので、内装が汚れにくくなります。ヘルメットをかぶる、という行為は、見方を変えると、頭と顔の皮脂を内装にこすりつける、という行為なので、いい歳したオッサンがヘルメットをかぶる、ということは、どういうことかというと、まあそういうことです。あまり良いイメージはない。ヘルメットリムーバーをかぶれば、ヘルメットの内装と肌が直接触れる部分はかなり少なくなるので、皮脂を直接こすりつけることはなくなります。しみ出した汗や皮脂がヘルメットの内装に付くのは防げませんが、それでも、ずいぶんマシだと思います。さらに、ヘルメットリムーバーは薄い布なので、洗うのは靴下より簡単です。ロングツーリング中は、洗面所で石鹸をつけて毎日洗います。毎朝、新鮮な気持ちでヘルメットをかぶるのは、悪くありません。
また、ヘルメットリムーバーには、髪型の乱れを防ぐ効果もあります。ただし、私は丸坊主(しかもハゲ)なので、丸坊主限定の効果かもしれません。丸坊主のハゲに髪型も何もないだろう、という意見もあるかと思います。確かに、私の場合、普段の生活で「髪型」というと、伸びたか伸びてないか、まだ生えているか生えなくなったか(←未練があるわけではないけれど、書いててほんの少し淋しい)、という意味しかありませんが、ヘルメットをかぶった時だけはちょっと事情が変わるのです。丸坊主でヘルメットをかぶると、ヘルメットの内装の形が、短い頭髪にプリントされてしまうのです。異様に凸凹になった自分の頭を鏡で見ると、ヘルメットの内装には、ヘルメット内部を快適にするための様々な工夫が凝らされているのだなあ、と感心するものの、北斗の拳の悪者みたいな前衛的な髪型は、ちょっと恥ずかしい。ヘルメットリムーバーをかぶっていれば、髪が全体的に押さえられるので、変な形になりません。これは、確かに丸坊主限定の話かもしれませんが、髪がちゃんとある人も、ヘルメットリムーバーをかぶる時に、しかるべき処置を行ってからヘルメットをかぶれば、ヘルメットを直接かぶって、どうなるかはヘルメットの脱いだときしかわからない、というよりは、いくらかマシなるような気もします。

さて、どうでしょう。ヘルメットリムーバーが素敵だ、という説明をしました。安全のためだけじゃなくて、いろいろいいところがいっぱいある、さあみんなで使おう、と声高らかに呼びかけるところなのかもしれませんが、素直にそうできないのは、ヘルメットリムーバーには悪いところもあって、それがそんなに小さなことではないからかもしれません。
最初に思い浮かぶのは、かぶったときの格好がどうにも間抜けに見える、ということでしょう。顔の輪郭を縁取るように、ぴったりと頭部全体を覆う薄い布をかぶった状態は、全身タイツの頭の部分にしか見えない。ヘルメットを脱いだら、中の人が全身タイツをかぶっていたら、少し驚くでしょう。うっすらと笑ってしまうかもしれません。反対の立場だと、ヘルメットを脱いだ瞬間に、周りの人に笑われているんじゃないだろうか、となんとなく恥ずかしい気持ちになるかもしれません。実際、ちょっと恥ずかしい。
この恥ずかしさは、ヘルメットの中から全身タイツの人が出てくることを周りの人が予想できていない、という認識のずれから生じるものでしょう。そうであれば、仮に、今後、バイクの免許を取るときにヘルメットリムーバーの装着が推奨されて、motoGPやXGameの世界中のプロのライダーが全員ヘルメットリムーバーを装着して、ヘルメットを買うとヘルメットリムーバーが標準装備されるようになって、ヘルメットをかぶるときにはヘルメットリムーバーをかぶるのが当たり前、という世の中になれば、ヘルメットを脱いだ時にヘルメットリムーバーをかぶっていないほうが、がさつで不潔で違和感がある、となるわけで、笑われることはないはずです。何十年か前は、原付に乗るときはヘルメットをかぶらなくてもよかったし、車のシートベルトもしていなかったわけですから、ヘルメットリムーバーが常識になる時代が来る可能性もあるはずで、そう考えると、見た目が間抜けな点は、そんなに大きな欠点ではないのかもしれません。実際にヘルメットリムーバーを使っている私も、ちょっとは恥ずかしいけれど、実はそんなに気にしていません。
実際に使っていて困るのは、顔にヘルメットリムーバーの跡がつく、という点です。額と、頬に、ヘルメットリムーバーの縁の縫い目の跡がつく。縁かがり、というんですか、あの5mmくらいの幅のギザギザした縫い目の跡がつきます。そして、年を取ると、それがなかなか取れない。半日は取れない。ツーリングが終わったあとも、たぶん残っている。額を真横に横切る5mm幅のギザギザの跡は、うろ覚えで描いたブラックジャックのようだし、頬についた跡は、授業中に机に突っ伏して熟睡した後みたいにも見える。要するに、あまりかっこよくなくて、かなり目立つということです。まあ、自分の顔についた跡は、鏡を見ない限り自分では見られないので、その存在を忘れてしまえばなんてことないのですが、トイレで鏡を見たときに、俺はこの顔でここまで歩いてきちゃったのか、とあとで気が付くのが余計に恥ずかしい。
この縫い目がわりと厄介で、跡がつくだけじゃなくて、当たりどころが悪いと、頭が痛くなったりします。気をつけないといけないのは、やはり額の部分。ここがヘルメットの内装の内側に入ると、意外なくらい痛くなります。人によって症状は違うかもしれませんが、私の場合は、1時間もすると、こんなに薄いのになんで、と思うくらいに痛くなりました。なので、ヘルメットリムーバーをかぶるときは、前の部分が眉の上ぎりぎりになるようにかぶりましょう。ヘルメットをかぶるときに、ずれて眉にかかってしまうことがあるかもしれませんが、その時は、目の横の部分をつまんで引っ張り上げれば修正できます。もしくは、後ろの方にずらして、髪の毛の上に縫い目を持っていくのもよいみたいです。私は試したことがないのですが、他の人がそのように着用しているのを見かけたことがあります。確かに、髪があれば、縫い目の凸凹くらいは影響ないかもしれません。髪が、あれば…。
ヘルメットリムーバーが普及するには、見た目の違和感と、顔に跡がつくことを解決する必要があるようです。ヘルメットリムーバーという装備は、まだまだ道具として洗練されていないと思います。素人が見ても、形状は単純だし、素材も吟味されていないように見える。誰かが本気を出せば、グッと性能が上がるような気がします。タイチやhyodoといったバイク用品メーカーと、グンゼやBVDといった普通の下着メーカーが協力して、見た目がおしゃれで、縫い目の跡もつきにくい、抗菌防臭速乾素材のヘルメットリムーバーを開発してくれる日が来ることを心待ちにしていますが、日本モーターサイクルスポーツ協会が、レース時の着用を義務付けたのが10年以上も前なのに、なんの進歩もないところからすると、今のままでは、あまり期待できなさそうです。

ところで、ヘルメットリムーバーの本来の目的の、安全性についてはどうでしょうか。
他人にヘルメットを脱がされる、というのを想像しただけで、首を捻挫する自信があります。ヘルメットリムーバーを正しく使えば、首に負担がかからないのはすぐにわかります。ただし、正しく使えば、という前提が必要です。
事故を起こしたときは、ライダーはその場から動かさないのが基本です。ヘルメットは軽いものではないので、事故の衝撃で首にかかる負担は大きく、見た目が大丈夫そうでも、頚椎に損傷がある可能性は高いからです。私が仮に事故にあって、自分で動けない状況だったら、専門知識のある救急隊員以外には、指一本触れてほしくありません。
では、実際に事故が起きたらどうなるでしょう。ちょっと想像してみましょう。
漫然と運転していた自動車がバイクを轢いた、とします。
“道路の真ん中にライダーが横たわっています。意識を失っているようで動きません。意識を失うくらいなので、衝撃も相当なものでしょう。重たいヘルメットを首の骨だけで支え切れているかどうか。頚椎の損傷が心配です。
一方で車の方はというと、車体はへこんでいるものの、ドライバーはたぶん無傷でしょう。自分の不注意でバイクをはねてしまったので、ドライバー慌ててライダーに駆け寄ります。動揺しているでしょう。相手は、道路の真ん中でピクリとも動きません。まずは、ライダーを安全なところに移動させます。上体を起こして引きずるので、ライダーのヘルメットをかぶった頭がダラリと垂れて、グラグラと揺れます。道路脇に動かしたライダーの肩をゆすって、大丈夫ですか、と声をかけます。さらに揺れるヘルメット。とりあえず救急車を呼びます。あとはできることは何もありません。ヘルメットの中を覗くと、ヘルメットの内装に押されて頬のあたりが窮屈になっているのがいかにも苦しそうです。どうしようかと思っていると、やじ馬がワラワラと寄ってきます。そのうちの一人が無責任にこんなことを言います。ヘルメット、脱がしてあげた方がいいんじゃないの?
そうじゃないかと思っていたドライバーは、救急車が来るまでじっと待っているのが我慢できず、ヘルメットを脱がします。残念ですが、緊急時にヘルメットの内装を外すエマージェンシータブも、ヘルメットリムーバーも使われません。最初は丁寧に脱がせようと思っていたドライバーは、思ったより脱がしにくいヘルメットに焦って、最終的には力任せにヘルメットをむしり取ります。善意の結果とはいえ、意味のない行為により、無事だった部分の頚椎もズタズタになりましたが、ドライバーはそのことを知りません。
到着した救急隊員は、ライダーのところに行って、ヘルメットリムーバーをかぶったままの意識のないライダーと、その傍らの、エマージェンシータブがそのままになっているヘルメットを見て、苦り切った顔をするものの、目の前で泣きそうな顔で立っているドライバーに今さら何を言っても手遅れなので、黙ってライダーをストレッチャーに乗せました。“
という感じでしょうか。仮にドライバーがヘルメットリムーバーの使い方を知っていても、触ってほしくはないのですが、勝手にヘルメットを脱がせるようなことをする人がいると、何の意味もありません。
想像した話なので、極端だと思われるかもしれませんが、実際にこちらのブログで書かれているようなこともあるみたいです。ただの作り話、とは言い切れないと思います。

せっかくかぶっていても使ってもらえないなら意味がない、と言いたいのではなく、どちらかというと、みんなで積極的に使って、
「最近、バイクに乗る人は全身タイツの頭のところみたいなのをかぶっているけどあれは何?」
と認知されるようにしたいものです。
「あれ、事故の時にヘルメットを脱がせるのに使うらしいよ、というか、救急隊員以外はヘルメット脱がしちゃいけないんだって。バイクの人を動かすのも止めた方がいいらしいよ」
という話題につながって、いろんなところで話題になれば、万が一の時に、動転した無知なドライバーが余計なことをしようとしたときに、それをみた見たやじ馬の一人が、
「ライダーに触るな。ヘルメットに触るな。」
と言ってくれるかもしれません。
と、偉そうなことを言ってから気がつきました。
今までは、私も、全身タイツもどきの姿が恥ずかしくて、ヘルメットをかぶったり脱いだりするときは、極力目立たないようにしていましたが、これはいけませんね。これからは、もっと堂々と、ヘルメットリムーバーをかぶるようにします。いつか、どこかで、誰かの、もしくは自分の、頚椎の一本でも救うことになるかもしれない、と信じて。
そして、今後、バイクの免許を取るときにヘルメットリムーバーの装着が推奨されて、motoGPやXGameの世界中のプロのライダーが全員ヘルメットリムーバーを装着して、ヘルメットを買うとヘルメットリムーバーが標準装備されるようになって、ヘルメットをかぶるときにはヘルメットリムーバーをかぶるのが当たり前、という世の中になることを期待して。
そうすれば、誰かがもっと本気を出して、イケてるヘルメットリムーバーが普及するはずです。

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